Reality~偽りの歌姫~《完》
「別に……理由はない」

そう言って、麗は扉を閉めた。



あいつは、まだ隠し続けるつもりなのだろうか。



俺に対しても、他の人間に対しても……

最後まで嘘をつき通して、Streamを辞めていく。

それが、あいつが出した結論なのかもしれない。



けれど、あいつは何のために秘密を守り続けてきたのだろう。

他のことを犠牲にしてでも、Streamで歌い続けたいという想いがあったからではないのだろうか。



ここまで来るのに、あいつは俺達以上に苦労してきたはずだ。

俺達四人で作り上げてきたもの、麗が守りたいと思ったものをこんな形で終わらせたくはない。


俺は決意を固め、扉を開いた。
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