Reality~偽りの歌姫~《完》
「そんなの知るかよ……」

結局、最後までこいつが口を割ることはなかった。

麗は諦めた様子で顔を背ける。



「お前が辞めるって、誰が決めた?桜井社長か……?」



「……このことがバレるくらいなら、今のうちに辞めたほうが幸せだろ」

麗の目から、涙がこぼれ落ちる。

どうしてこいつは、何でも一人で抱え込んでしまうのだろう。

こうなったのは、麗だけの責任ではないはずだ。



「この、馬鹿やろう……」

そう言って、俺は麗を抱きしめた。
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