Reality~偽りの歌姫~《完》
俺が握った麗の手は、微かに震えている。



彼女の頬に手を添えると、麗は固く閉じていた目を開けた。

「麗……怖いか?」



五年間、男として振る舞ってきた麗。

まだ女として扱われることに慣れていないのだろうか。



「私…遼のこと好きだから……」



麗が、私と呼ぶのを初めて聞いた。



そう言って、俺の手をぎゅっと握りしめる麗。



麗の緊張が解けるまで何度もキスをする。



麗の髪を撫でると、唇をふさいだまま、そっとあいつの体に触れた。
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