Reality~偽りの歌姫~《完》
麗の肩がビクッと反応する。

やはり俺は、こいつに触れてはいけなかった。

自業自得だ。



麗の肩から離れた手が、宙をさまよう。



「今日は楽しんで歌えばいいだろ。
俺達の初舞台だからな」

うつむき加減で、小さくうなづく麗。



俺が戻ろうと背を向けた時……

「遼!」

いつもの威勢のいい声が聞こえた。



「今日は頑張ろうぜ!」

そう言って、麗は親指を一本立てた。
< 33 / 271 >

この作品をシェア

pagetop