Reality~偽りの歌姫~《完》
「ジュリ、今日は仕事ないのか?」

振り返った俺を、ジュリアは上目づかいで見上げる。



「今日はシフト入ってないし」

ジュリアの【仕事】とは、芸能界の仕事のことではない。

まだ音楽の仕事は少なく、それだけでくっていくのは難しい。

業界人との人脈をつくるように桜井社長が吹き込んだらしいが……

ジュリアは六本木の店で働いている。



「遼、お酒飲んでたんでしょ?あたしも呼んでくれたらよかったのに……」

そう言いながら、勝手に俺の部屋に押し入ってきた。
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