Reality~偽りの歌姫~《完》
「機会があればな……」

横目で(のぞ)き込み、ジュリアは長い茶髪をかきあげた。

「つれない返事!」



ジュリアは口をとがらせ、左手のリストバンドをいじっている。

そのバンドの下には、いくつかの傷が隠されている。

昔好きだった男の名前をカッターでほったこともあるらしい。



気の強い女だが、精神的に不安定になることも多い。

迷惑かけられてばかりにもかかわらず、完全に突き放せないのはそのせいだ。
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