Reality~偽りの歌姫~《完》
「他に好きな人でもできたの?」

ジュリアは俺の肩にもたれかかって頭を乗せた。



ジュリアのことを『好きだ』と言ったことは一度もない。

ただ一度だけ、こいつがタチの悪い業界人に襲われそうになっていたのを助けたことがある。



『こいつに手を出すな』と相手を殴った記憶があるが……

ジュリアが好きだから助けてやったわけじゃない。



相手が見知らぬ女性でも、あの状況を見たら助けにいっただろう。



その事件以来ずっと……

ジュリアは大きな勘違いをしたままだ。
< 61 / 271 >

この作品をシェア

pagetop