Reality~偽りの歌姫~《完》
ジュリアの携帯がけたたましく鳴った。

「もしも~し♪」

携帯を耳にあて、出口へと走るジュリア。



「ごっめ~ん、私そろそろ戻んなきゃ」

携帯を握ったまま、ジュリアが両手を合わせる。



「ジュリ、送るよ」

ほっといても、他の男が迎えに来てくれると思うが……

和樹は、ジュリアを追って出ていった。



「んじゃ、俺もそろそろ……」

マイペースにつまみをほおばっていた琢磨も立ち上がる。



「たまには片付け手伝えよ……」

琢磨は聞こえないふりして出て行きやがった。

あいつが片付けを手伝ってくれたことは一度もない。



嵐が去った部屋には、壁に寄りかかって目を閉じかけている麗と俺だけが残されていた。



「おい、麗……大丈夫か?」
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