Reality~偽りの歌姫~《完》
麗は、ぼんやり目を開いた。

焦点が定まらない目で俺を見上げる。

「お前は……自分の彼女の心配だけしてればいいだろ」

そうつぶやいて、目をそらす麗。


こいつは、ジュリアのように自分の思いをストレートに表現できるタイプじゃない。

どこか自分を抑えてしまうところがある。

だからこそ、心配でほうっておけない。



「まったく……俺の周りは手がかかる奴ばかりだ」

ぐったりしている麗の肩に手をかけた。



「俺のことなんかほっとけよ。大丈夫だから」

麗は俺の手を払いのけ、自力で立ち上がろうとした。



その時……

麗が上体のバランスを崩して、俺の胸に飛び込んできた。
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