もののけ姫に愛されて。。―番外編―
美結編 Ⅰ
「あ~、もぅ、ヤダ…。どっか行って~…っ!」
と、泣きだしそうな…声を発していた。。
高校からの、帰り道…駅へと向かう途中の路地で、犬に絡まれてしまった…
「う~っ! スカート、引っ張っちゃヤダ! パンツ、見えちゃう~…!」
高校に入学したばかり…の4月。。
帰宅途中で、犬にナンパされた…このお話の主人公・三枝 美結は、片手で制服のスカートを抑えながら…もう片方で持っている鞄でその犬を振り払おうとしている…
栗色の肩先まで伸びた髪…、高校デビューで毛先にくるんとパーマをあてている…
「なに、してるの?」
と、その声が聞こえ…振り返った…
同じ高校の男子生徒だった…浅葱色の詰襟に、長身の背の高い男の子…
「…あ。。」
一瞬にして、頬が紅潮していくのが…分かった…
「……っ」
《隣のクラスの…イケメン王子・西園寺 律くん!
って…。。
こんなトコ、見られたくないのに…なんで、こんな人に~っ!》
その少年は、クスクスと笑いをこらえながら…
「その犬、君を襲おうとしてんじゃない? やられちゃいそう?
里見の伏姫みたいに…犬の子、妊娠しちゃう?」
と、安心したのも束の間…。。その少年の言葉に…、一瞬にしてムッとなる…
「…っな…! 妊娠しませんからっ!」
《なに、それ?
犬の子って…。。妊娠する訳ないでしょ!》
「いゃ、その犬が…っ、八房なら…8人の八犬士の…知らない? 里見八犬伝…」
その、律の真剣な言葉も…、いまの美結には理解できなかった…
「だから、何のハナシしてるの?
それに…、…わ、笑い事じゃ…ないしっ!
たすけてよっ!」
《もぅ、この人…ヘン…っ!
なんで、あたしが犬の子、妊娠するの~?》
「…え? 助けるの? 俺が? それって、頼んでるの?」
それが、人にモノを頼む態度なの?とでも言いたげな言い方に…
「ごんなさい。助けてくださぃ…っ!」
その、美結の必死の懇願に…律は、面倒くさそうな表情を一瞬し、深いため息を一つつき…美結に近づく…
「しょーがないなぁ…。この子、可愛い子猫でも見つけたようなカンジなのに…っ」
と、独り言のように呟きながら…
その犬の頭を撫で…
「ごめんね、彼女、君に興味ないって…」
そぅ、頭をなでながら…優しく囁くように言った…
美結のスカートを掴んで離さなかった犬は、きゅーん…と鳴き…、スカートの裾を口から離し…、律に頷き返し…何事もなかったかのように…歩いて行った…
「…え~?」
《すごいっ! なんで~?》
拍子抜け…した美結は、その犬の姿を見送る…
「じゃ、これでいい?」
先程とは、打って変わって…冷ややかな口調になった律…
「あ! ありがとう! 助かった…」
「うん、まぁ…。渡りに船…だから」
「は? 何それ?…ふね? サザエさん?」
全く…、お互いの会話が噛み合っていないような2人…
律は、はぁ~…と、ため息をつき…
「君さ、日本人なんだから…もっと、ことわざや日本文学、読みなよ?
《里見八犬伝》…滝沢馬琴の名作! 映画やドラマにもなってるから!」
と、泣きだしそうな…声を発していた。。
高校からの、帰り道…駅へと向かう途中の路地で、犬に絡まれてしまった…
「う~っ! スカート、引っ張っちゃヤダ! パンツ、見えちゃう~…!」
高校に入学したばかり…の4月。。
帰宅途中で、犬にナンパされた…このお話の主人公・三枝 美結は、片手で制服のスカートを抑えながら…もう片方で持っている鞄でその犬を振り払おうとしている…
栗色の肩先まで伸びた髪…、高校デビューで毛先にくるんとパーマをあてている…
「なに、してるの?」
と、その声が聞こえ…振り返った…
同じ高校の男子生徒だった…浅葱色の詰襟に、長身の背の高い男の子…
「…あ。。」
一瞬にして、頬が紅潮していくのが…分かった…
「……っ」
《隣のクラスの…イケメン王子・西園寺 律くん!
って…。。
こんなトコ、見られたくないのに…なんで、こんな人に~っ!》
その少年は、クスクスと笑いをこらえながら…
「その犬、君を襲おうとしてんじゃない? やられちゃいそう?
里見の伏姫みたいに…犬の子、妊娠しちゃう?」
と、安心したのも束の間…。。その少年の言葉に…、一瞬にしてムッとなる…
「…っな…! 妊娠しませんからっ!」
《なに、それ?
犬の子って…。。妊娠する訳ないでしょ!》
「いゃ、その犬が…っ、八房なら…8人の八犬士の…知らない? 里見八犬伝…」
その、律の真剣な言葉も…、いまの美結には理解できなかった…
「だから、何のハナシしてるの?
それに…、…わ、笑い事じゃ…ないしっ!
たすけてよっ!」
《もぅ、この人…ヘン…っ!
なんで、あたしが犬の子、妊娠するの~?》
「…え? 助けるの? 俺が? それって、頼んでるの?」
それが、人にモノを頼む態度なの?とでも言いたげな言い方に…
「ごんなさい。助けてくださぃ…っ!」
その、美結の必死の懇願に…律は、面倒くさそうな表情を一瞬し、深いため息を一つつき…美結に近づく…
「しょーがないなぁ…。この子、可愛い子猫でも見つけたようなカンジなのに…っ」
と、独り言のように呟きながら…
その犬の頭を撫で…
「ごめんね、彼女、君に興味ないって…」
そぅ、頭をなでながら…優しく囁くように言った…
美結のスカートを掴んで離さなかった犬は、きゅーん…と鳴き…、スカートの裾を口から離し…、律に頷き返し…何事もなかったかのように…歩いて行った…
「…え~?」
《すごいっ! なんで~?》
拍子抜け…した美結は、その犬の姿を見送る…
「じゃ、これでいい?」
先程とは、打って変わって…冷ややかな口調になった律…
「あ! ありがとう! 助かった…」
「うん、まぁ…。渡りに船…だから」
「は? 何それ?…ふね? サザエさん?」
全く…、お互いの会話が噛み合っていないような2人…
律は、はぁ~…と、ため息をつき…
「君さ、日本人なんだから…もっと、ことわざや日本文学、読みなよ?
《里見八犬伝》…滝沢馬琴の名作! 映画やドラマにもなってるから!」