もののけ姫に愛されて。。―番外編―
「ありがとう、こんな遅くなって…ごめんね」

と、律は、その日…美結の自宅前まで送って行った…

「うん。こんな時間だからね。家の人、大丈夫?」

時間は、21時近くだった…。。普通に考えれば…高校生の女の子が出歩いているような時間ではない…

「瑠奈ちゃんとご飯食べてく…って言ってきたから…」

と、苦笑いを浮かべる美結に…、律は吹き出しながら…

「悪党だね。」

「口裏、合わせて貰ってるから!
西園寺くんこそ、遅くなっちゃって…、遠回りなのに…」

「ウチは、いいよ。三枝は、女の子なんだから…今度からは、もう少し早く帰るようにしよ」

と、既に特別な扱いを受けているのではないか?…と、勘違いしそうな律の言い回しに…

美結は、途端に笑顔になった…

「…うん!」
《…【今度からは】…って…

また、会ってくれるってことだよね?》

そんな…、約束のない約束…が、嬉しかった…

今までとは、違う…確実に。。


美結は、路地の角を曲がる…律の姿が見えなくなるまで…見送っていた…

すぐ様、瑠奈と悠斗に報告をした…2人には、お礼をしてもし足りないくらいだ。。

『良かったね、美結。』

と、電話口の瑠奈は、嬉しそうにしているのが…その声からも伺える…

「うん、ありがとう。瑠奈ちゃん!」

『アンタ、頑張ってたもんね~。よく、落としたモンだゎ…』

「でも、試用期間だょ。これで振られちゃったらさ…」

と、律と付き合えるようになったことを喜ぶ反面…美結は、不安がよぎる…

『そんな最初っから、そんなこと、言ってないの! 西園寺くんだって、美結のことがイヤだったら…例え試用期間でも受け入れないと思うよ?』

そぅ、瑠奈に言われ…。。

確かに…、その通りだ…と、思う要所ばかり…だった…

「でもさ…」
《西園寺くん…、

あの時…、『好きな人がいる』…って…》

『まーた! ネガティブなこと、言わないの! デートに誘う! 夏休みなんだからっ! 分かった?』

美結の脳裏によぎった言葉を、遮るように言った瑠奈…

美結は、言いかけた言葉を…飲み込んだ…

「うん…」

『あたしは、美結のこと、好きだよ。西園寺くんも、美結のこと、分かってるから…承諾したの!
そぅ、思うよ…』

いつも…、前向きな言葉をくれる…

美結は、目頭に浮かんだ涙を拭い…

「…うん…っ!」

そぅ、頷き返した美結だったが…、不安は膨らむばかり…だった…
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