もののけ姫に愛されて。。―番外編―
それは…

夢の中に留まらず…、昼夜問わず…

美結の中に、響いている…


『彼は、私を殺したの…。
私と…、私のお腹の中に宿った小さな生命を…
彼は、私だけでなく…自分の子まで…』

「…やめて…っ! そんなの信じない…」

そぅ、両耳を塞いでも…なおも聴こえてくる…その声…


『そうね…。信じる…信じない…は、あなたの自由…
でも、私は、真実しか述べないわ…』

「…真実…っ?」
《…それでも…、

あたしにとっての【真実】は…っ》

美結の、脳裏に浮かんだのは…、律だった…

【信じてくれて、ありがとう】

そぅ、自分に笑いかける…律だった…


美結は、塞いでいた両耳から手を離し…。。閉じていた両目を開け…空を見、微笑む…

「それでも…、それは、過去の彼。
彼は、きっと…大切なあなたを亡くして…、後悔したと思う…」

『……』

「だから…、だから…もう一度、生まれ変わって、やり直すことに…」

その時、美結の目の前に…銀色の髪に琥珀色の瞳をした女性が現れた…

『…そう…。
あなたは、私の鏡…
私はね、あの人を憎しみながら…、愛していたの…』

そぅ、ほほえんでいるように見える…その女性…

彼女は、そう言うと…

美結の身体を包み込むように抱き締め…

『私が、あなたを守るから…』

美結は、自分の身体の周りに暖かな温もりを感じた…

『あなたは、きっと…
色々なモノを引き付ける…。私を頼って…』

そぅ、言い…掻き消えた…

美結は、その女性が言っていた言葉の意味が分からなかった…


が。。


その直後に行った修学旅行で、その言葉の意味を理解することになる…――



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「…っきゃ…っ!」

小さく悲鳴を上げた…。。

が、寸での所で、腕を引き寄せられ…その身体は彼に抱き寄せられていた…

「大丈夫か?」

その、頭の上から聴こえた声に…、何とか…頷き返した…

「……っ」
《いま…、足元の地面の階段…、なかった…

まるで…、沼に足を取られたみたいに…》

そぅ、先ほどのことを思い返す…と、美結の表情は少しずつ…青ざめていった…

先ほど、起こったことの恐怖心が蘇る…

「三枝、大丈夫か?」

その声に、やっと…律の方を見上げることが出来た…

「…あ、あたし…、いま…」
《引きずり込まれそうだった…?》

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