もののけ姫に愛されて。。―番外編―
「でも、良かったの? 美結、日本に残っても良かったんじゃない?
製菓の学校って、言葉もままならないのに…」

「うん。そうなんだけど…
こっちは、9月からだから…まずは、語学勉強してから入るかどうか決めようかな?と。」

「そうね~。それからでもね。
それでも、学校行きたかったら…こっちでもいいし。日本に帰ってもいいし。」

そんなことを言う母に、美結は首を傾げる…

「あなたの人生だもの。後悔しないように…自分のやりたいように生きればいいの。
お母さんは、憧れの海外生活を楽しみますから!」

美結は、その言葉に…しばし考え…、笑顔を創る…

「…うん。」
《そうか…、選択肢はいくらでもあるんだから…》


。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *

その年の10月。。

美結ほ、不慣れながらも…バイトのようなことをし、資金を貯め…語学勉強がてら…の一人旅を強行することにした…

以前の美結だったら、想像もつかないような出来事だった…


「…わ~っ! すごいっ!」

美結は、イギリスからフランスに渡り、パリ市街にある凱旋門を登った…

清々しい…心の中が洗われるような風が吹いていた…

『ホントねっ!』

と、美結を通して…リアも上機嫌で、凱旋門の屋上からシャンゼリゼ通りやパリ市街を眺め…嬉しそうなのが伺えた…

その言葉を聴き…、美結の方も自然に笑顔となった…


今では。。不思議…と、昔から…ずっと傍にいる友達のような関係になっていた…

「Excuse me」

傍にいた外国人に、写真を撮って貰うようお願いした…

イギリスに来てから、必要最低限の英会話が話せるまで…になっていた…

以前の…、律に出会う前の自分とは、想像も出来ないくらいだ。。


美結は、凱旋門の手すりに触れ…、下の世界や穏やかな空の先…を見つめる…

胸の辺りが、なぜが…暖かな温もりが浮かんだ…

これは、やはり以前…彼女がこの場所にいたからなのか?…それとも、美結の心がそうさせているのか…?

「……っ」
《この空はきっと…

彼に繋がってる…


もぅ、あれから…2年経つのに…、
いつの間にか、あの日の…、あの瞬間に…、引き戻される…


今なら、素直に応えることが出来たのかもしれないのに…

あの時は、負担になりたくなくて…、いつも守ろうとしてくれたのに…。。

本当は、…いつか、失うのが…怖かった…

そんな不安を打ち消すくらい、好きだったはずなのに…、子どもだった…


今なら…

今でも…、あなたのことが、大好きです…

あたしは、今でも…あなたに恋をしている…》

その瞳に、暖かな涙の粒が溢れ出していた…

瞼を閉じると…、あの日…、最後に見かけた律がいた…


その後、美結はリアと共に、念願だったイタリア・ローマのシスティーナ礼拝堂の【最後の審判】を訪問した。。
< 24 / 26 >

この作品をシェア

pagetop