もののけ姫に愛されて。。―番外編―
「…すごい…っ!」

思わず…、感嘆な声をあげる…

天井に大きく繰り広げられる…世界を見上げる…

「……っ」

美結は、その天井絵画を見上げている内に…涙が溢れ出していた…

『美結、どうしたの?』

と、突然…、泣き出した美結を心配しているリアの声が耳元に響いた…

「分からない。ただ…、あたしが悩んでいることって、この絵の前ではホントに些細なことだったんだな…と、思えて…
最後に、裁きを受けるまでは…ここに居なきゃいけないんだよ…」

『美結、日本に帰りたくなった?』

美結の気持ちを察したリアの言葉に、美結は微笑み…

「…そうね…」
《…例え、会えなくても…。。

同じ空間の中にいたい…》


美結は、その後…、日本に帰国することを決めた…

1年遅れ…で、製菓の専門学校を受験し、翌年の春から一人暮らしをし始めた…


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日本に帰国し、数ヶ月が経った…

1年遅れ…で、製菓や西洋料理の専門学校に入り…、慣れない1人暮らしの生活にも…慣れてきた頃…

「美結っ! 久しぶり~」

「瑠奈ちゃん!」

待ち合わせをしていたカフェで、先に到着していた瑠奈が座っていた席までかけて行く…

と、こちらも忙しい生活を送っている…瑠奈は、看護大学の2年になっていた…

「どうだった? 海外生活…っ」

と、海外生活でもやり取りをしていたはず…だったが、直接話を聞きたかったようだ…

「ふつーだよ? 最初だけよ、新鮮だったの。でも、フランスとイタリア…1人で行ってみた」

美結は、スマホで撮った旅行に行った際の画像を瑠奈に見せる…

「すごーい! フランスか、いいな~!
あたしなんて、毎日毎日…課題や実習やら、終わりがない迷路のような日々よ?」

瑠奈は、美結の携帯につけられているピンクの鈴に気づき…

「それ、まだつけてるんだ…」

と、呟くように言った…

美結の携帯に、ストラップとしてつけられていたのは、律とお揃いの鈴…。。

「…っえ…?」

一瞬…、なんの事か分からなかった美結に、瑠奈は笑いかけ…

憶測ではあるが…、美結の真意を悟った…

「聞き流してくれていいし…、これはあたしのお節介…」

そぅ、優しくニッコリと微笑んで見せ…

「この前、連絡きた。。西園寺くんから…」

その名に、美結の瞳が一瞬揺らめいたのを…見逃さなかった…

「アンタのこと…、気にしてた。
これは、あたしの勘違いかもしれないけど…好きなんじゃないの? お互い…」

その言葉に…、息を吹き返したように…胸元が熱くなってきたのを感じた…

「でも…、彼女くらい…いるでしょ? 彼、モテるから…」

冷静さを取り繕うように…、それだけ言えた…

胸の鼓動を。悟られないように…

美結の脳裏には…、高校の卒業式のあの日…、女の子と話をしていた律の姿が思い浮かんでいた…

「…彼女…?
いないって、言ってたけど…。あれから…ずっと…。ずっと…ってのは、信憑性に欠けるけど…何しろ、王子だから!」

「…でも…っ」
《あの日も…、女の子に告白されてたんじゃ…?

プレゼント、受け取っていたのに…?》

瑠奈は、大きなため息を1つつき…

「もうっ! あたしのお節介、ここまでだから…あとは、自分で考えて行動しなさい!」

そぅ言われ…、凍てついた心が、再び…熱を帯びたのを感じた…


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