もののけ姫に愛されて。。―番外編―
その年の夏の日。。

美結は、瑠奈の誘いで、バスケの大会がある…という体育館に来ていた…

女子は、1回戦で敗退…となっていたが。。男子は、3回戦目の今日の大会まで勝ち進んでいたようだ…

「美結~!」

試合会場に着くなり…、先についていた瑠奈が美結の姿を見つけるなり…、2階席の席を取っておいてくれたようで手を振っていた…

「瑠奈ちゃんっ!」

美結も、同じように…手を振りながら…瑠奈がいる席まで小走りで行く…

すぐに、瑠奈の隣の席に行くと…

「今日、西園寺くん出るかもよ~」

と、満面の笑みを浮かべていた…。。その言葉に、美結の頬は一瞬にして紅潮する…

「もぅ! アンタ…、そんなに好きなら…告白すれば?」

その、瑠奈の言葉に…美結は、一瞬にして冷静さを取り戻しながら…

「そんなの…ムリだよ。あたしなんて…」
《どんなに好きになっても…

手に入らないモノがあるとしたら…、それは、彼の心…かもしれないのに。。》

意気消沈…と、なった美結。。

そんな美結の身体を、瑠奈は抱き締め…

「しょーがない子ね。この子はっ」

優しく…、頭を撫でる瑠奈に、甘えそうになりつつ…も…


「っあ、あたし、お手洗い…行ってくる」

そぅ、泣きだしそうな顔を見られないように…ムリして、笑って見せた…。

すぐに、トイレのある1階席まで駆け足で行こうとした…


その会場の出入口付近にトイレがある…美結は、急ぎ足で行こうとした…が、曲がり角を曲がろうとした時に…、誰かに腕を掴まれた…

驚き…のあまり、声を上げようとした…が。。その、トレーニングウェアは、美結と同じ高校のバスケ部員の男子生徒だった…

「っし!」

と、その少年は、自分の口の前に、人差し指を立て、美結に静かにするように意思表示している…

確か…、隣のクラスの男子生徒…佐伯 悠斗だと思い出した…

その指は、そのまま…美結が行こうとした曲がり角の向こうを指さしていた…

そこには…

「西園寺くん、私、好きなの。付き合ってもらえない…?」

と、美結たちの通う高校の生徒だった…

その、目の前で起こった…告白シーンに、美結は足元から崩れていくような…そんな感覚がしていた…

律は、返事を…どうするのか…?

美結の鼓動は、自分でも収拾がつかないくらいに…早まっていっているのを感じていた…


「悪いけど。。」

律は、ため息をひとつつき…

「俺、あなたのこと、知らないし…いきなり、【付き合って】って…、あなたは、俺の何を知っているの?」

と、明らかに…突き放す…ような言い方をしていた…
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