シュガーレス
第1話 パートナー
「まっとうな恋がしたい」
ゆらゆらと揺れる落ち着いた間接照明の明かりを見つめながら呟いた。
「まっとうな恋ねぇ」
鼻で笑い馬鹿にするような態度が気に障って背を向ける。近づいてくる気配、肩に触れる冷たい指先、身を寄せて囁く吐息が首筋にかかる。そして放たれる言葉に唇を噛みしめた。
「恋もせず、好きでもない男に肌を晒す女がよく言うよ」
彼の鋭く冷めた一言に、返す言葉なく目をぎゅっと閉じた。
肩から腕、腰へとなぞりながら下りる指先の感覚にピリピリとした身体の痺れを感じて身を捩るがすぐに捉えられ、仰向けにベッドに肩を押し付けられた。
「実希子」と私を呼ぶ深みのある低い声にごくりと息を飲む。一度達したばかりの身体が熱を帯びるのは早かった。唇が重なればたちまち呼吸を奪い合うような深いキス。
うっすらと開いた瞳に、揺れる間接照明の明かりが映る。淡いオレンジ色。柔らかで、穏やかで、温かくて、そして儚い。
遠い記憶が蘇る。まるで、あの時のキミのようだ。目を閉じた。ぎゅっと硬く閉じれば深い暗闇が広がる。
それでいい。今の私じゃ、思い出に浸るだけで美しい思い出も汚してしまいそうだったから。
ゆらゆらと揺れる落ち着いた間接照明の明かりを見つめながら呟いた。
「まっとうな恋ねぇ」
鼻で笑い馬鹿にするような態度が気に障って背を向ける。近づいてくる気配、肩に触れる冷たい指先、身を寄せて囁く吐息が首筋にかかる。そして放たれる言葉に唇を噛みしめた。
「恋もせず、好きでもない男に肌を晒す女がよく言うよ」
彼の鋭く冷めた一言に、返す言葉なく目をぎゅっと閉じた。
肩から腕、腰へとなぞりながら下りる指先の感覚にピリピリとした身体の痺れを感じて身を捩るがすぐに捉えられ、仰向けにベッドに肩を押し付けられた。
「実希子」と私を呼ぶ深みのある低い声にごくりと息を飲む。一度達したばかりの身体が熱を帯びるのは早かった。唇が重なればたちまち呼吸を奪い合うような深いキス。
うっすらと開いた瞳に、揺れる間接照明の明かりが映る。淡いオレンジ色。柔らかで、穏やかで、温かくて、そして儚い。
遠い記憶が蘇る。まるで、あの時のキミのようだ。目を閉じた。ぎゅっと硬く閉じれば深い暗闇が広がる。
それでいい。今の私じゃ、思い出に浸るだけで美しい思い出も汚してしまいそうだったから。
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