シュガーレス
 私たちの互いの自宅の距離は徒歩10分程度だった。
「すみません、わざわざ送ってもらちゃって」
「いいんです、僕が誘っちゃったので。話し相手になってくれてありがとうございました」
「ではまた」
「あの」
「はい?」
「次からは。あの喫茶店で福田さんを見かけた時は、満席じゃなくても相席お願いしてもいいですか?」
「えぇ、もちろん」
 仁科さんは小さく頷くと「おやすみなさい」と静かに告げ去って行った。
 部屋に入って明かりを点ける。でもすぐに引き込まれるような眠気に襲われて明かりを消した。お風呂に入らずに眠ってしまうとかありえないけど、今ならすんなり穏やかな眠りにつけそうだ。
 明日は出勤前にお風呂に入ってから出かけよう。私はベッドに入って目を閉じた。
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