涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
まるで少し話したことのあるただの知り合い、もっと時間が経つとただの他人。
それのおかげか、周りからはなにも言われなくなって、誰も空に興味を示さなくなって、誰も空を見なくなって、また独りになった。
それを望んでいたはずなのに、寂しくてたまらない。
なんでって痛くなる。
誰にどう思われても、ぜんぶどうでもいい。
奏以外の誰に嫌われたっていい。
そう思っていたはずだったのに。
また私は誰かに期待して痛みを感じている。
前の私だったらそこで諦めていた。
でも、りょうただから。
「よし……っ明日はぜったいおはようって言う……!」
奏が作ったハンバーグを口いっぱいに頬張りながら、もう引き返せない宣言をした。
また言ってるよという顔をした奏に今度は本当だもんと付け足す。
「その次は?」
「その次?次はあれでしょ……あなたの趣味はなんでしゅか!!?」
白米をかきこむと、奏は呆れたように笑う。