涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


「こらぁーっそこのふたりぃ!そんなところでぃなにちてるんだねぇ!」


っひ…!!

とっさに掴んでいた袖から手を離す。

なにあの人誰……?

まるまるとしたシルエットが近づいてくる。

どうしよう怒られる……


「あっ鶴壁(つるかべ)先生だ〜っ」


ピリピリとした空気をぶち壊すように、涼太は先生に大きく手を振りだした。


え?なに?つる、つるぴか先生?

たしかに頭はつるかぴだけど、そんなこと言ってもいいの?


「なぬぅ?!また君かぁ?!」

「俺もまた会えて嬉しいよー!先生元気してたーー?」

「今日こそはぁ反省文を書いてもらうからねぇーっ!!」


……話がぜんぜん噛み合ってないけど会話できてんの?


おかげですっかり恐怖心が消え去り、それどころかなぜか既視感を覚える。

一度も会ったことないはずなのに、なーんかどっかで見たことがあるような…

特にツルツルのあたまが、って!!


「あぁーっ!この人!!あの絵に」


途中で口をふさがれ、んっと言葉の先を止められる。

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