涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
「わーかったから」
「…よしよし」
そっと視線をあげると目が合い、その笑顔にドキっと胸が高鳴った。
いつもより熱っぽい瞳と、ふにゃりと緩んだ弧を描く唇。
そして自分より幼く弱いものを
大切に愛でるように
「えらいえらいよ」
「あともうちょっと、半分まで頑張れる?」
頭を撫でる優しくて温かい手。
なつかしい感覚が胸をじわりと熱くする。
不覚にも泣いてしまいそうになった。
「ね、先生いいでしょ?」
「ぬぅ…」
「思ってもないこと捻出(ねんしゅつ)して書くより、半分でも心こもってるほうがいいと思わない?先生おねがい!」
「こ…今回だけだからなぁ…」
「はーい!先生やっさしー」
憎めない涼太の笑顔に負けた先生が、少しご機嫌に頬杖をつく。
それを知ってか知らずか、涼太はこっちを向いて、にっとイタズラに笑った。
心と体がギュッとされるみたいに、感情が溢れてくる。
ぜんぶ熱い。
それをごまかして茶化す言葉がでてこない。
先生と楽しそうに会話しながら反省文を書く横顔から目が離せなくて
あぁもうだめだ
頭を撫でるその手でこのまま