涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
あははは笑って水の掛け合いに参戦する涼太は一見子供っぽく見えるかもしれない。
でも空にとっては……ヒーローだよ
「おーーけっこーきれいになったなぁおつかれ!!もう帰っていいぞー!ここにご褒美のラムネあるから飲んで帰れー!ここにいるやつ以外には秘密な!」
先生の軽快な挨拶で終わったプール掃除。
「はいっ乾杯!」
水びたしで髪をかきあげ、肩にタオルをかけてる涼太にとろけた笑顔を真正面からくらい、うっと息がつまる。
やめてよそれ。心臓に悪いから。
涼太はパンッと蓋を押し当て、プシュウゥと炭酸の音がする。それを自分で飲むのかと思ったら、はいって渡されてまたキュンとした。
「空だってそれくらいできるよ」
なのに可愛くないことを言ってしまう。
なんでこんなこと言っちゃうんだ。本当は女の子扱いされて嬉しいのに。
「ははっわかってるよ。俺がしてあげたいの。だめ?」
「……ありがとう」