涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
【ごめん一ミリもならなかった】
【なんでだよ】
いつもの会話のテンポに、ふっと笑みが溢れた。
【隣の席めっちゃいい人】
適当なことを言って返事を待つ。
【話そらすな】とか【ムシすんな】とか、いつものノリツッコミのつもり、だった。
急に会話のテンポが途切れて……あれ?
【男?】
しばらく待って返ってきたのは、その一文字だけ。
【男だけど、なんで性別気になんの?】
【気合い入れとけよ】
は?
意味分からなくて、堪えきれずに「ふっ」と吹き出す。
【空になんかしたら俺がぶっ飛ばす、つっとけ】
っ……でたでた。
奏のぶっ飛ばす。
ほんっと可愛いんだから……ケンカしたことないくせに
心配してくれてるだけなんだよね。
ありがとね、奏。