涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。

【ごめん一ミリもならなかった】

【なんでだよ】



いつもの会話のテンポに、ふっと笑みが溢れた。



【隣の席めっちゃいい人】



適当なことを言って返事を待つ。

【話そらすな】とか【ムシすんな】とか、いつものノリツッコミのつもり、だった。

急に会話のテンポが途切れて……あれ?



【男?】



しばらく待って返ってきたのは、その一文字だけ。



【男だけど、なんで性別気になんの?】

【気合い入れとけよ】



は?


意味分からなくて、堪えきれずに「ふっ」と吹き出す。



【空になんかしたら俺がぶっ飛ばす、つっとけ】



っ……でたでた。

奏のぶっ飛ばす。

ほんっと可愛いんだから……ケンカしたことないくせに


心配してくれてるだけなんだよね。

ありがとね、奏。

< 14 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop