涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
「もぅいいからっプリン食うぞ!!」
奏の耳が少し赤くて可愛い。
「んーーうまっ」
甘くツルンとした食感が、もうたまらない。
「明日のごはんなにがいい?」
幸せを噛み締めていると、隣で同じくプリンを頬張る奏が聞いてきた。
…なにがいい…か
「なんでもいい」
少し考えて返事をする。
しばらくして、奏は呆れたように息を吐いた。
「…んと空って欲がないよな」
「よく?」
「うん。今日はこれ食べたいーとか、着たい服とか、欲しい物とか…どこ行きたい、とかさ」
そう言われてみれば…
「んー…ないなぁ」
どこか行くにはお金がかかるし、バイトしてない空にはムリでしょ、欲しい物もそう。
着たい服…?は別に変な服じゃなくて着れたらなんでもいいし
食べたいものは…
「奏が作った料理ならなんでもおいしいから、なんでもいい、なんでも食べたい」
「そういえば空って、けっこうそれが楽しみなのかも」
「唯一毎日楽しみだなって思うこと」