涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


「もぅいいからっプリン食うぞ!!」


奏の耳が少し赤くて可愛い。



「んーーうまっ」


甘くツルンとした食感が、もうたまらない。


「明日のごはんなにがいい?」


幸せを噛み締めていると、隣で同じくプリンを頬張る奏が聞いてきた。


…なにがいい…か


「なんでもいい」


少し考えて返事をする。

しばらくして、奏は呆れたように息を吐いた。



「…んと空って欲がないよな」

「よく?」

「うん。今日はこれ食べたいーとか、着たい服とか、欲しい物とか…どこ行きたい、とかさ」


そう言われてみれば…


「んー…ないなぁ」


どこか行くにはお金がかかるし、バイトしてない空にはムリでしょ、欲しい物もそう。

着たい服…?は別に変な服じゃなくて着れたらなんでもいいし

食べたいものは…



「奏が作った料理ならなんでもおいしいから、なんでもいい、なんでも食べたい」

「そういえば空って、けっこうそれが楽しみなのかも」

「唯一毎日楽しみだなって思うこと」


< 145 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop