涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


気遣われたり、しかたなくみたいな空気読むの嫌なんだよね。

嫌っていうかできないんだよ。

周りにも、男子たちにも怪しまれないようにさりげなく男子の後を追う。


……なんか変態みたいだな



「あっ……青笑さん……っっ!!」



へぃ?!


かなり大きな声で名前を呼ばれて、ばっと後ろを振り返る。


変態じゃないからぁぁ!!


そう叫ぶ寸前で口をふさいだ。


ガチガチに緊張した女の子が、真剣な顔で空を見あげていたから。

その子は、すぅっと大きく息を吸った。



「っっ……一緒にいきょう!!」



……噛んだ。


教科書がシワになるくらい勇気を出して話しかけてくれたんだと思うと……なんか可愛いし嬉しい。

すっごく、うれしい。



「ありがとう」

「ょかったぁ……っ青笑さんクールだから、話しかけるの緊張しちゃって……いこっ」



初めて見たその子の笑顔はすごく嬉しそうで、胸がギュッとなった。



「………」



こういうときって、なに話したらいいんだっけ


嬉しくてすっかり忘れてた。

空のコミュニケーション能力はゼロぉぉォォ……だってこと

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