涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
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大丈夫
高校一年生の終わり、二年になる前だった。
「……てん、こう?」
「そう。早く準備しなさい」
……なに、言ってんの?
あまりに冷淡すぎて、なにを言われてるのか分からなかった。
また同じクラスがいいねって、今日の帰り道に話したばっかりなのに。
冗談だよって、笑ってくれたら……どれほどよかっただろう。
少しでも期待した自分がバカみたいだ。
「なんで?理由は?」
やっとの思いで絞り出した声は、ムカつくほど震えていた。
答えてくれるはずないって、頭でちゃんと分かっているのに。
なのにまだ、期待して……何度も、何度も。
すがるように期待して。
もしかしたら本当は、心の奥底ではちゃんと愛されてるんだ、って。
「………」
お母さんの背中が、だんだんぼやけてきた。
苛立ちと恐怖で震える手を、ぐっと握り締める。
ーーきっとこれが最後だ。
そう思うと、自然と言葉が溢れ出た。
「ねぇ無視しないでよ」
「なんで転校するの?」
「……ねぇって、」
一度も目が合うことなく、通り過ぎていく影。
まるで存在していないみたいに。
あぁ……やっぱりもう
「ただの邪魔者?」
……ねぇ、お母さん言って