涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
「空のことなんかもうどうでもいいんだ?」
なんか言ってよ
ーーバタンッ
心を殴られたみたいに、ドアの閉まる音だけが重く残った。
「違うって……っ……言ってよ……っっ」
開くことのないドアは遠く、暗い。
なんで?
信じてたのに。
悲しい、辛い、苦しい、寂しい。
するりと力が抜けて、小さく丸くなる。
「……はは……っ……バカみたい」
ひとりで勝手に感情的になって。
必死になって。
信じて、期待して、バカみたいじゃんか。
「どうでもいい」
「ぜんぶ……いらない」
信じなきゃよかった。
期待しなきゃよかった。
こんなことになるなら。
もう初めから、いらない。
いま流れてる涙も、いらない無駄だ。
涙なんか、枯れてしまえばいい。
「…ら」
視界がぼやけて真っ暗で、自分がどこに手をついているのかすら分からない。
「…ぃそら…!」
だれかに呼ばれてる。
「おい空(そら)!」
ぐんっと、手を強引に引かれるみたいに、夢から覚めた。