涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


奏からメール来てないか確認したんじゃないしっ……寂しいとかそんなんじゃないし……っ!


……ちがうし……


ケータイの画面が真っ黒になり、そこに自分の顔がうつった。


……こわ


睨んでるみたい、むすっとしててぶさいくで、たしかに怒ってるように見える。

そんなの自分が一番分かってるんだよ。

なにも見たくない。

見せたくない。


机に顔を伏せた。


幸せそうなカップルも、楽しそうに友達と話す人も。

それを見て心から微笑ましく思えない自分も。



「そろそろチャイム鳴るから席もどれよ〜〜」



映画の続きは、もうどうでもよかった。




四時間目が終わり、お昼休憩の時間になった。


どこか、ひとりになりたい。


いい場所を探して歩いていると、いつの間にか最上階まできてしまった。

だれの話し声も聞こえない。


……もしかて、いまは使われてないとかそういうやつ?


なんかワクワクしてきた。

右にはみっつの空き教室、左はふたつ並んでいる。

一番手前の、右の教室をそっと覗いた。

机や椅子、とにかく物が散らかっている。

一応だれもいないことを確認してから、中にはいった。

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