涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
どうせなら、大切な人と
奏とくだらないことして笑ってたいなって。
「かなで」
「……あいたい……」
……ん?
は?
「会いたいってなに?!」
「カップルみたいじゃん!!」
……あれ?
自分の声にはっとして見回すと、そこに奏はいない。
夢から冷めたみたい。
埃っぽくてなにもない教室に座り込む、自分ひとりだけ。
あー……寝てたのか
寝癖ひとつないから、わかんなくなるね。
ここは世界から切り離されて、太陽と隠れんぼしているみたいだ。
現実(こっち)の方が、夢の中より夢みたい。
心の中でつぶやいて、ふっとわらった。
だって夢の中の空は映画みたいなんだもん。