涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


とにかく瞳がすごくきれいで、時々俺でも見惚れてしまう。

けーちゃんは呼吸するだけで女の子をメロメロにしちゃうけど、実は女の子が大の苦手。

ららちゃんにだけは大好きラブラブ溺愛だけど。

基本的にツンツンツン……デレくらいの割合のツンデレです。

かっわいいよね〜



「トマトが嫌いなだけでしょ。野菜もちゃんと食べなさい」



まぁいつも結局は甘やかしてしまうんだけど。

それを分かっているかのように、けーちゃんはわざとらしく口の端をあげた。



「ありがとな、オカン」



わざと最後を強調してくるあたり、すごく悪意があるよね。



「どういたしまして!!」



否定するのが面倒になって受け取ると、ふたりはご機嫌に笑った。



最上階までくると、だれの笑い声も聞こえなくなる。

今は使用されていない空き教室が並んでいるここは、女の子嫌いのけーちゃんに最適ってこと!

3人だけの秘密の居場所だ。


一番奥の空き教室を目的に歩く。

警戒心の強いけーちゃんが、そこじゃないとイヤだって言うから。


ふたりが手前の空き教室を通りすぎたあと、かすかになにかの物音がした。

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