涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
約束
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やっぱり声が聞こえる。
たまたまこの近くを通った人の声だと思っていたけど違う。
いつまで経っても遠ざからない声を確かめるために、イヤホンを外した。
うん……やっぱり
声の大きさ的に隣ではないと思うけど、ここの空き教室のどれかにいるのは確かだ。
……さっき寝落ちてる間に誰か来たのかな
独り占め気分を味わっていたぶん、なんとなくショック。
でも誰かいるってことは、まだ時間大丈夫ってことだよね。
五時間目って何時からだっけ
こわいから早めに戻ろう
でも、できるだけゆっくり歩こう。
廊下を歩いていても、教室に入っても、自分の席についても、まだ物珍しい視線を感じる。
見慣れない人が同じ教室にいるんだから、しかたない。
……そのうち、そのうち慣れる
教科書を探すふりをしながら気を紛らわしていると、先生が教室に入ってきた。
その瞬間びゅんっと先生の後ろから、りょうたが駆け込んできた。
「せーーふっ」
「5分前行動」
頭を小突かれ、りょうたはヘラっと笑う。