涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
「……おはよ」
「ぅわぁっ…!!」
間近に顔があって驚く。
いくら見慣れてるからって、さすがにびっくりする。
「ははっ俺はオバケかっ!」
くしゃっと笑いながら頭を撫で回されて、髪がボサボサになった。
「顔にカタついてるし」
「……しかもおまえ、なんかうなされてたけど」
空の机の前にしゃがんで、頬杖をつく幼なじみ。
どうやらこれでも心配してくれているらしい。
……たしかに嫌な夢は見たけど
「どうでもいいよ、んなこと」
空には奏(かなで)がいるから。
目の前にある金色のふわふわに手を伸ばす。
数回優しく撫でてから、仕返しに一回、くしゃっと雑に撫でてやった。
奏は照れて顔を赤くさせながら、ぐっと目を閉じる。
かわいい。
「……プリン食いすぎてお腹壊した夢でもみてた?」
上目遣いでおちょくってきた幼なじみの頭上に一発チョップしてやった。
ニッと笑いながら目を伏せる、奏の言いたいことは分かってる。
「大丈夫だって」