涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
え、何この状況。
めちゃくちゃどうしよう。
どんどんふたりがこっちに近づいてくる。
とりあえずゲームをしてるふりをして、さっとケータイで顔を隠した。
「岸くん“爆睡”ですね」
「そうこれが爆睡」
「はいっもう覚えました!」
……なにを教えてんの?
「じゃぁこの顔」
「これは……アホ面、ですか?」
「正解」
「ふふっやったぁ」
友達の顔で遊ぶな。
思わず心のなかでツッコミをいれてしまう。
変なカップルだなと思いながらも、気を紛らわそうとバトルゲームを始めた。
きっく、じゃんぷー、ぱーんち!
音がだせないぶん、心のなかで楽しむ。
ぱんちぱんち、きーーっく!
ーーペシペシ
ぺしぺし!
ーーバチバチッ
バチバ!……チ……?
音量ゼロにしてるのになんで……?
ーーベチベチベチ
いやこれゲームの音じゃない!!
「いで、いでで」
隣の席の人がめちゃくちゃビンタされてる……!!
あっ……と思った頃にはもう遅く、ばっちり、しっかり、天然ちゃんと目が合ってしまった。
ありゃ……気づかれちゃった。