涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


「わぁぁっあのときの!」


きらきらした瞳で見つめられ、うっと息が詰まる。

この最悪なタイミングで目覚めたりょうたとイケメン、3人の視線が空に集まった。


ぐ……気まずいの渋滞じゃん



「ららの友達?」



わかりやすく嫌な顔をしたイケメンが、天然ちゃんに聞く。


「あっはいっ!いやっまだちが、あっでもこれから……っ……ぁぁあのっ案内してっ映画でっせ、席を!!」



……ちょっといったん落ち着こうか



「……はぁ?」



すこしの沈黙のあと、イケメンが間抜けな声で言った。

りょうたは堪えきれなかったのか、ふっと吹き出して肩を震わせている。

空も今にも笑ってしまいそうだったけど、意地でなんとか堪えた。

天然ちゃんは頬をポッとピンク色にさせて、「へへ」とはにかむ。



「……自分で笑っちゃってんじゃねぇか」



今まで無感情を貫いてきたイケメンが、俯いて肩を震わせた。 

< 47 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop