涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
「わぁぁっあのときの!」
きらきらした瞳で見つめられ、うっと息が詰まる。
この最悪なタイミングで目覚めたりょうたとイケメン、3人の視線が空に集まった。
ぐ……気まずいの渋滞じゃん
「ららの友達?」
わかりやすく嫌な顔をしたイケメンが、天然ちゃんに聞く。
「あっはいっ!いやっまだちが、あっでもこれから……っ……ぁぁあのっ案内してっ映画でっせ、席を!!」
……ちょっといったん落ち着こうか
「……はぁ?」
すこしの沈黙のあと、イケメンが間抜けな声で言った。
りょうたは堪えきれなかったのか、ふっと吹き出して肩を震わせている。
空も今にも笑ってしまいそうだったけど、意地でなんとか堪えた。
天然ちゃんは頬をポッとピンク色にさせて、「へへ」とはにかむ。
「……自分で笑っちゃってんじゃねぇか」
今まで無感情を貫いてきたイケメンが、俯いて肩を震わせた。