涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。



出てきちゃったし、門で待っていよう。



「……あつ」



……もうすぐ夏か



「空はずっと……苦しいままなのに」



毎日変わらない空を見上げたその時、チリンチリン!と音が聞こえた。

しゅーっとタイヤがすべる音がして、目の前に自転車がとまる。



「っ……びっくりするじゃんっ」



怒ると、奏はニカッと笑った。

もともとふわふわな金髪がふわりと揺れる。

奪うようにカバンを取られて、その自転車のカゴにおさまった。



「帰るかっ」



それがあまりにいつも通りで、なんか泣きそう。



「……うん」



奏は、ふんっと自慢げに笑う。



「ほんと世話のかかるやつだわ〜」

「奏が迎えに行くって言ったんじゃん」

「ん」



迷いなく差し出された左手をギュッと握る。

小さい頃からずっと。

いつから繋ぐようになったのかは覚えてないけど、前に一回聞いたことがある。

< 49 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop