涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
出てきちゃったし、門で待っていよう。
「……あつ」
……もうすぐ夏か
「空はずっと……苦しいままなのに」
毎日変わらない空を見上げたその時、チリンチリン!と音が聞こえた。
しゅーっとタイヤがすべる音がして、目の前に自転車がとまる。
「っ……びっくりするじゃんっ」
怒ると、奏はニカッと笑った。
もともとふわふわな金髪がふわりと揺れる。
奪うようにカバンを取られて、その自転車のカゴにおさまった。
「帰るかっ」
それがあまりにいつも通りで、なんか泣きそう。
「……うん」
奏は、ふんっと自慢げに笑う。
「ほんと世話のかかるやつだわ〜」
「奏が迎えに行くって言ったんじゃん」
「ん」
迷いなく差し出された左手をギュッと握る。
小さい頃からずっと。
いつから繋ぐようになったのかは覚えてないけど、前に一回聞いたことがある。