涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


「俺はプリンじゃねぇ」



からかうように笑われ、むっと睨む。

奏は空より先に家のなかへ入っていった。


悔しい……けど、まぁいっか!

プリン買ってきてくれたしっ


あぁ〜〜食べるの楽しみっ……て、なんか……奏ごつくなった?


ふとリビングへ向かう後ろ姿を見て思った。

肩幅がこう、ひろくなったような……あれ、身長も伸びた?

いろんな角度から、奏のカタチを手ではかってみる。


うん……やっぱり大きくなった!


冷蔵庫にプリンをいれる奏に近づいて、一番筋肉がありそうな腕をつっついた。



「……わぉ」

「っ!!?いや、なにがわぉだよ!!急にセクハラしてくんな!!」

「へぇーいつの間にこんなに大きくなってー」

「親戚のおばちゃんかっ」



がしっと手首をつかまれ、へへっと笑ってみせる。



「奏の成長に感動したんだよ空は」



弟の成長を見守る姉の気分。

謎に真剣な顔で、じーっと空を見つめてくる奏の脇をくすぐった。



「笑うの我慢してんだろー」

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