涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


「遅刻じゃーーーん」

「ぷっ……ははははっいつから遅刻とか気にするようになったんだよ」

「なんでもっとはやく起こしてくれなかったの〜〜?!」

「は?じゅうぶん早いだろ」



あぁぁ〜〜そぅだったぁ〜〜

前の学校では、クラスの半分が遅刻しなかったら奇跡起きたとか騒いでるバカ校だったぁぁ



「うぇーい空おつー!事故んなよー!」

「あーー!まちがえて前の制服着ちゃったじゃぁぁぁん」

「ぶふぉぉっ」



茶化されながらも、奏が起こしてくれたおかげで、意外と間に合った。

深呼吸をしながらドアをあけると、何人かと目が合って本能的に俯く。

冷静を装って席につくと、机の前でスカートが揺れた。



「ねぇねぇちょっと聞きたいことあるんだけどさ、前の学校にイケメンっていた?」

「いたら教えて!おねがいっ」



顔の前で手を合わせて笑うそれは、どこかで見たことがある。

すとんっと、気持ち悪いくらいに呼吸が落ち着いた。

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