涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


りょうたは緊張のほぐれた笑顔で、ぐーっと伸びをしながら言った。


なんでそんなこというの?……また泣いちゃうじゃんか


優しい嘘だって分かってる。

なのにりょうたのありがとうがすごく純粋で……胸がぎゅっとなるくらい、きれいだから……



ーー『先生〜〜あたしこの班イヤでーーす不機嫌な人いるんだもん。空気悪くなる〜〜』

『……ごめん』

『っ……思ってもないくせに』



空もあの時ありがとうって言えばよかった。

言われてこんなに嬉しいなら……ひとこと言えば……
  


ーー『持久走めんどくさくね?』

『ぁ……うん、ガチだるい』

『ふっ青笑さんって、そんなこと言う子なんだ』



ふと思い出した。

一回だけじゃなかった。
何回も話しかけてくれたあの子。

いつもほんの一言、二言だったけど……



ーー『青笑さんは?どれタイプ?』

『……ぇ……と、これ』

『えー!意外!あははっ』

『……ふっ』

『笑ったっ!あははっ笑うとかわいーじゃんっ、あたし__!次から名前で呼んでよ』

『……うん』



いつも友達に囲まれてて、楽しそうに笑う子だった。

そう……りょうたみたいな。

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