涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


初めて聞く、りょうたの震えた声。

怒ってるんじゃなくて……

悲しそうで、さみしそうな……



「なんで、りょうた……」



視線の先まっすぐ、りょうたは今にも泣き出しそうな顔をしている。

ていうか、泣いてんじゃんもう。

空より痛そうに、苦しそうに、辛そうに。



「いみわかんなぃ……っ」



ほんとに。

笑ってんのか、泣いてんのか、たぶんこれはどっちもだ。

こんな複雑な感情はじめてだよ。

こんなに人生に絶望しても、笑えるって初めて知った。



「……ありがとう」



もういいや、空の負けで。

さした傘の破れたところに雨が流れ、頬に落ちた。


泣いてもいいや……いまは。


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