涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


りょうたは言いながら立ち上がって、窓のほうへ身体を向けた。


ーーガチャッ、……ガンッ


固く錆びて開かないはずの窓があいて、明るい風が空とりょうたの間を流れる。

心がぐわっと浮くみたいだった。



「自分に正直で素直」



涼しそうな声が空に溶ける。

きらりと光る瞳は、どんな空を見てるんだろう。



「……」



ゆっくりとなめらかに髪がなびく。

きれいに微笑まれて思わず俯いた。



「どこがっ……、わがままで、頑固の、……間違いでしょ……」

「可愛いと、かっこいいの間違いでしょ」

「なにいってんの……」



ほんとに……。


冷たい風がほしくてなんとなく立ちあがる。

窓のほうへ向くと、眩しかった。



「青笑さんあれだ」

「ん?」



あれってどれ。

窓の外をきょろきょろ見渡すと、隣からクスッと楽しそうな笑い声がした。



「ツンデレだ」

「は?!」

「ふふ」



ツンデレ……空が?

ツン、まあトゲがあることは認めるけど、デレないし!

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