涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
仲間
ぐぅきゅるるる。
「……」「……」
シーンとした空気の中で鳴った怪獣みたいな音。
なんでもない顔をしていたら、隣でカサコソと音がした。
「……食べる?」
差し出された手には、飴やグミ、チョコがのっている。
「……ありがと」
とっさに断りかけたけど、もう一回鳴ったら泣くと思う。
三つの中から一つもらい、すぐ口に入れた。
……はっず。
やっぱり聞こえてたよな。
朝なんも食べてこなかったからだ。
「おいし?」
「……むん」
……恥ずかしすぎて味よくわかんないけど
一生懸命に味わっていると、また手を差し出されて焦る。
え。口から飴出せってこと?
落ち着け、そんなわけない。
「ん、ん?」
「それ」
りょうたは私の拳に優しく触れて、丁寧に指をほどいた。
握りしめていた飴の抜け殻があらわれ、慌ててとじる。
「え。自分で持っとくよ」