涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
「そう?」
りょうたは首を傾げて微笑む。
「……あのさ、」
いい加減我慢の限界だ。
「は、はい」
りょうたはまるでお説教をされる前みたいに表情をかたくした。
怒ってるわけじゃないけど、いやでもなんかキレそう。
「どうやったらさ、そんなさ、」
「完璧になんでもできるようになんの」
もう優しすぎてなんかキレそう。
「……ふふっ」
少し見つめ合ったあと、りょうたは溜め込んでいた笑みを吹き出す。
……なに笑ってんだ
「完璧じゃないよ」
りょうたは優しい笑みのまま窓の外へ目をやった。
「なんでもできるわけじゃないし、ミスもする。俺だって人間だし」
ミス……りょうたが、ミス……。
「……ミスるんだ」
「うんっふふ、俺をなんだと思ってるの」
「……」
なんだろう。
遠くから見てもきれいだなあって思う。
なにしてても、声とか言葉とか仕草とかぜんぶ、きれい。
なんか夢って感じ。