涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


満面の笑顔で笑いかけてくれたりょうたは、あっという間に友達に囲まれた。



「おいりょうた〜、どこ行ってたんだよ」

「わりぃ、わりぃごめーん許してっ」

「可愛くねえぞ。ったく、普段から女子にちやほやされてるからって……コノヤロっ」



メガネをかけた人が、りょうたの肩を組んで引き寄せる。



「あはっ、はははっ、まじごめん。サンゴ、まじごめん」



友達に首をこしょばれて笑うりょうた。

わりぃ、とか言ったりするんだ。

空といるときにはないノリ、ふざけ方。

目に見えない絶対的な強い信頼関係。

表情。髪型。体つき。

これは……スポーツマンだな



「昼休み特訓付き合ってくんない?」



あ、やっぱり。


メガネをかけた人が不安げに言った。

りょうたは無邪気に笑う。



「ばか俺を、はみごにするなよ」

「やっぱりもつべきものはリョウタだな」

「なんだそれ」

「お前しかいねえよ。万年ベンチの俺達の練習付き合ってくれんの。そんなハッピーな暇人おまえしかいねえよ」

「ベンチだからなんなんだよ」

< 88 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop