涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
満面の笑顔で笑いかけてくれたりょうたは、あっという間に友達に囲まれた。
「おいりょうた〜、どこ行ってたんだよ」
「わりぃ、わりぃごめーん許してっ」
「可愛くねえぞ。ったく、普段から女子にちやほやされてるからって……コノヤロっ」
メガネをかけた人が、りょうたの肩を組んで引き寄せる。
「あはっ、はははっ、まじごめん。サンゴ、まじごめん」
友達に首をこしょばれて笑うりょうた。
わりぃ、とか言ったりするんだ。
空といるときにはないノリ、ふざけ方。
目に見えない絶対的な強い信頼関係。
表情。髪型。体つき。
これは……スポーツマンだな
「昼休み特訓付き合ってくんない?」
あ、やっぱり。
メガネをかけた人が不安げに言った。
りょうたは無邪気に笑う。
「ばか俺を、はみごにするなよ」
「やっぱりもつべきものはリョウタだな」
「なんだそれ」
「お前しかいねえよ。万年ベンチの俺達の練習付き合ってくれんの。そんなハッピーな暇人おまえしかいねえよ」
「ベンチだからなんなんだよ」