涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。


その言葉は空の胸に強く響いた。

りょうたのこんな荒っぽい口調を聞いたのは初めてかもしれない。

ドキドキしながら目を向けた。



「仲間に代わりないだろ」



顔には出してないつもりだろうけどチラつく。

涼しい顔が崩れる瞬間。

それは【仲間】のほうがきっと知ってる。

りょうたを見る仲間の瞳に、小さな光の粒が舞い上がる。

じんわり、あたたかいものが胸から溢れて……

グゥぅぅ。

えっ、まって、え、ちょ、なんでいま?!



「……一緒に食べよう」



存在を消すために息を止めていたら、リョウタの仲間の一人にパンを差し出されて……顔が熱い。

はい!そりゃバレるよね……!こんな時に鳴るなよお腹……!!

恥ずかしすぎて手も出せないでいると、クールにそっと手を取られてパンを握らされた。



「……え、や、」



恥ずかしすぎて、食べれないです……。



「これ嫌い?これね、素朴でうまいよ」



ヘアバンドをつけた人が楽しそうに言う。

気づけば三人とも空を見てて、心臓がバクバクと速く大きくなっていく。

き、緊張するぅゥゥ……



「おぉ、どしたどした」



ひぃ。



「てかこの子って、噂の転入生……」

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