涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
「……えっ……と」
バスケできんことはないけど、勇気はない。
もうずっとしてないから、体力も落ちてるだろうし……
「ボール拾いくらいなら……」
「あっこら、クウト!女の子困らせるな」
パンをくれたクールな人がヘアバンドの人に言った。
ヘアバンドをつけた元気な人は、クウトっていうらしい。
「ボールあたったら危ないだろうが」
「俺が助ける!」
「お前は練習しろよ」
なんか心配されてるみたいだけど。
「大丈夫ですよ」
ボール拾いくらいならできる。
「元女バスだったんで」
「「えぇーーーっ」」
三人とリョウタの声が重なって教室に響く。
分かってたことだけど空が元バスケ部ってイメージないよね。
こう見えて中学校の頃は女子バスケ部だった。
「やろうぜバスケ!燃えてきたー!」
クウトに肩を組まれて、りょうたがそれを止めて……もうどんちゃん騒ぎ。
変わんない、変わってない。
見ないふりをしようと思えばできる。
周りの視線が冷たく突き刺さってるのは、ずっと分かってる。
それでもいいと思えるほど、嬉しかった。
自分も仲間に入れたみたいで、心が舞い上がってた。