涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。

おいしい




「ねえ、どういうこと?」



ーーこうなることは簡単に予想できた


体操服に着替えようとしたら、あの女の子二人に腕を引っ張られて連れてこられた倉庫前。


こっちが聞きたい、どういうこと?



「……っうで、」



いたい、離せ

振り払う前に捨てるように手が離れていく。



「なにその顔」

「男にちやほやされて調子のってんじゃねえよ」



ーーあぁ、これはあれだ。あのときと同じ。



「ぼっちのくせにっ」

「……なんで、あんたなんかが、」



学校の人気者と嫌われ者は、一緒にいちゃいけない、だっけ。



「なんであんたがッ岸とかバスケ部とかと仲良くしてんのっ」



声を荒げて、泣きそうになりながらこっちを睨む目。

どうしていつも、空を見る人はみんな笑ってくれないんだろう。



「男の前だけ笑ったり喋ったりしてっ見え見えなんだようざいなっ」



なんでそんなこと言われなきゃなんないんだろう。別に何も意識してなかった。

楽しいときに笑って、おもしろかったら笑う、だめなの?

空ってそんなおかしなことしてる?

< 93 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop