ただ愛してるだけ
「……前から、司会の仕事に、憧れていて。」

「へえ。」

そんな私でさえ、笑顔で受け入れてくれる彼は、純粋なのか。

それとも、人間が大きいのか。

どちらかなのだと、私は感じた。


「安宅さんは?」

「僕は……」

その瞬間、彼は一人仕事人に戻っていた。

「音楽が好きなんです。一人でも多くの人に、音楽の素晴らしさを伝える事ができればと思って、仕事を受けました。」

一瞬、ドキッとした。

4歳も年下の彼に、心動かされるなんて。

いや、4歳年下だって言っても、彼ももう28歳なんだし。

一人の人間として、仕事への想いがあっても、おかしくはないのだ。


「千葉さん?」

「あっ、はい。」

彼に声を掛けられ、ハッとした。

私、何を考えているんだろう。
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