ただ愛してるだけ
「車に乗って。」

慶人君は、助手席のドアを開けた。

「助手席に乗っていいの?」

「もちろん。」

後ろから私の名前を呼ぶ律子さんを無視して、私は慶人君の車に乗った。


「自分の車?」

「うん。」

「自分で運転するんだ。」

「そう。だから、家まで送るよ。」

さっきから、胸の鼓動がうるさい。


そんな時に、律子さんから電話が架かってきた。

『夕陽?これは一体、どうなってるの?』

「怒らないで。彼に送ってもらうから。」

『ちょっと、夕陽!』

そこで、電話を切った。


「マネージャーさん?」

「そう。男性の事となると途端に、うるさくなるの。心配性なのよ。」

彼は、ハハッと笑って、赤信号で止まった。

キリッとした横顔。

ダンスをしているだけあって、体も引き締まっている。
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