ただ愛してるだけ
「慶人君。」

「夕陽さん!」

彼はメンバーに断って、私のところへ来た。


「お疲れ様です。」

「夕陽さんこそ、お疲れ様です。無事に終わって、よかった。」

「そうね。」

ありきたりな会話をして、私達は、下を向いた。


言葉のない時間が、二人を包む。

先に、口を開いたのは、彼の方だった。


「夕陽さん。この後は家に?」

「え、ええ。」

すると彼は、私の耳元で呟いた。

「仕事が終わったら、家に行くかも。」

私は、顔を上げた。

「約束はできないけれど、願望って事で。」

そう言うと彼は、メンバーのところに戻ってしまった。


メンバーも、少し驚いている。

「えっ?千葉さんと、仲いいの?」

「まさか!」

「相手は、千葉夕陽だぜ?」

そんな風に言われると、私も恥ずかしくなる。
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