ただ愛してるだけ
そう返事をして、私は自分のマンションに帰った。

人気のいない部屋に、明かりを灯す。

髪を解し、ソファに横になった。


『家に行くかもしれない。』


そんな言葉を思い出して、胸がトクントクンと胸打つ。

期待しない。

彼だって忙しいんだから、昨日の今日でこれる訳ないわよ。

落ち着け、落ち着け。

そんな事を思いながら、私は軽い眠りに着いた。


しばらくして、インターファンが鳴った。

「誰かしら。」

ソファから起き上がり、インターファンのボタンを押すと、彼が映っていた。

「えっ……」

玄関に行って、ドアを開けると、彼が立っていた。

「慶人君。」

「言ったでしょう。家に行くって。」

そう言って彼は、家の中に入った。

「あの……」

呼び止めても、靴を脱いで、廊下を歩いている。
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