ただ愛してるだけ
「ところで、もう一つ仕事のオファーがきてるんだけど。」

「なに?」

「歌番組の司会、やってみない?」


私が目が点になった。

この私が、司会!?


「やりたい。」

「そう。なら仕事、受けるわね。」


でも、一つだけ難点があった。


「あーあ。仕事がくるのは嬉しいけれど、休みがなくなる。」

「嬉しい悲鳴じゃない。あっ、週に1度の休みは、確保するわよ。」

「有難う。さすが名マネージャー。」

「どういたしまして。」


私は、律子さんにバレないように、小さなため息をついて、窓の外を見た。

元来の仕事人間気質が邪魔して、恋愛する時間が見つからない。

30歳を超えれば、女優として売れなくなると漠然と思っていたから、20代は仕事に捧げたのに。
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